初期対応で差が出る!? データの復旧率を高める「初期対応」とは
パソコンやスマホなどを使用していると、ある日突然、ハードディスク(HDD)の不調や誤作動によって重要なデータが消えてしまう場合があります。今回はデータ復旧率を高める初期対応の流れと、安全な復旧のためにできることや事後処理についてまとめます。いざというときのために、どう対応すればよいかぜひ参考にしてください。
初期対応の流れとは
データが損傷する原因は、HDDが物理的に損傷する物理障害と、情報の書き込みに失敗したりシステムに不具合が生じたりして起きる論理障害に分けられます。どちらの場合であっても、初期対応によって復旧率は大きく変わるといってよいでしょう。
初期対応は、NG行動を回避することから始まります。何度も再起動するのは代表的なNG行動です。パソコンの様子がおかしいとき、再起動することでトラブルを解決できることがあります。再起動で問題が解決すればよいのですが、再起動後も問題が解決しない場合に何度も繰り返すことは大きなリスクにつながります。
なぜなら、不具合が発生しているHDDが何度も情報を読みだそうとする過程で被害が拡大する恐れがあるからです。特に、パソコンから異音がしたり、突然電源が切れたりする状態であれば、物理障害が発生している可能性が高いため、HDDがさらに故障しないように何度も再起動するのはやめましょう。
物理的に壊れているときに通電し続けることもNG行動です。再起動で問題が解決しない場合は、パソコンの電源を切りましょう。HDDが損傷しているときにOSを再インストールする選択肢もありますが、復旧という観点に立てば、おすすめできません。なぜなら、再インストールによってデータが初期化されるからです。
論理障害の場合HDDそのものが破損しているわけではないため、OSの再インストールで不具合を解消できるかもしれませんが、データコードが初期化されるため復旧が困難となります。同様に、パソコンを初期化する方法も復旧が難しくなるという点でおすすめできません。
不具合が発生したら上記のようなNG行動をとることなく、エラーメッセージなど現状を記録したうえでパソコンの電源を落としましょう。HDDに異常がある状態で使用を継続すると、状態は悪化史、データの上書きが行われて復旧が困難になるからです。
職場で使用しているパソコンで異常が発生した場合は、電源を落としたらすぐに職場の上司に報告しましょう。その際は、エラーメッセージの有無やインジケーターがどのように点灯していたかの状況確認、パソコンからの異音・発熱の有無について記録します。
安全にデータ復旧を行なうためにできること
初期対応が終了したら、復旧の必要性を検討します。問題が発生したパソコンのHDDに重要な情報がない場合、無理に復旧するよりもパソコンの修理や買い替えを行った方が低コストで済む可能性が高いからです。また、バックアップがあれば、わざわざ復旧する必要がないため、修理・買い替えで対応したほうがよいでしょう。
しかし、重要なデータがある場合は復旧を行う必要があります。復旧は自分で行うか専門業者に依頼するかの2つの方法のどちらかを選択しましょう。
自分で復旧するときによく使用されるのが、データ復旧ソフトです。復旧ソフトはフリーソフトから有料ソフトまで幅広く存在しますが、原則、専門業者に依頼するより低コストで対応できます。ただし、対応できるOSや製品が限られていたり、ソフトの安全性や信頼性に疑問がある可能性があるため使用する際には注意が必要です。
少しでも確率を上げるには専門業者に依頼するのが無難です。業者を選ぶ際には信頼がおける技術力が高い業者を選ぶとよいでしょう。専門業者に依頼すると自分で復旧を行うのに比べると復旧確率は上がりますが、それでも復旧が100%できない場合もあるため、過度な期待は禁物です。
今後のために障害報告書も書いておこう
データ復旧が必要なトラブルが発生した場合、今後のために報告書を書いておくと良いでしょう。その理由は、今後も同じようなトラブルが発生した際にスムーズに対応できるからです。報告書には、大まかな内容、発生した機器の名前、トラブルの詳細、原因や対応といったトラブルの経緯を書きます。
報告書を書く際に気をつけることは、誰が見てもわかる書き方をすることです。できるだけ専門用語や難しい言い回しは避け、誰が見ても理解できるような報告書にするのが理想です。パソコンにかかわる社内の人すべてが閲覧・認識できるようにすることで、トラブル発生の対応がよりスムーズになります。
まとめ
今回は、データ復旧の初期対応を中心に解説してきました。初期対応のポイントはNG行動を避け、現状を記録してパソコンの電源を落とし、次の対策を考えることが重要です。むやみに再起動したり、OSを再インストールしたり、初期化したりするとHDDに入っているデータの復旧が困難となります。トラブルが発生した際は、発生した機器や状況、トラブルの経緯などを記載した障害報告書を書いておくと良いでしょう。
そうすることで、同様のトラブルが発生した際の対応が格段に早くなります。類似の案件が発生した際に、作成した報告書によって復旧対応が早まることでしょう。