地震などの自然災害でデータを失っても復旧できる?
近年では日常生活のさまざまなシーンで電子化が進んでおり、データを確実に保存することが重視されています。今回は、地震や火災などの自然災害によってハードディスクのデータが失われてしまった場合の障害の種類や復旧可否、業者に修理を依頼する際の注意点について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
自然災害による被害は物理障害になる
ハードディスクをはじめとする記憶媒体の故障には、論理障害・物理障害の2種類があります。地震や火災、津波などの自然災害でハードディスクが故障した場合は、物理障害に該当するのが一般的です。
ここでは、自然災害による故障・障害について詳しく解説します。
論理障害と物理障害の違い
論理障害と物理障害の違いは、ハードディスクそのものが物理的に破損しているかどうかという点です。記憶媒体の論理障害とは、ハードディスクそのものが物理的に破損しておらず、内部データでエラーや故障が起きているケースです。具体的には、ファイルシステムの破損や誤作動によるデータの削除、システムが起動できないなどの障害を指します。
対して、物理障害とは、ハードディスク自体が損傷しているケースです。地震や津波などの自然災害によってハードディスクが故障するときは、パソコンが転倒したり、落下物が当たることで本体そのものが割れたり、本体が濡れて使えなくなったりするといった物理障害が基本となります。
物理障害は個人での復旧ができない
ハードディスクそのものが破損していない論理障害であれば、専用のデータ復旧ソフトの利用で内部のデータを復元できるケースも少なくありません。また、別のハードディスクにバックアップを取っていれば、故障したハードディスクのOSなどを再度インストールして、もう一度利用できる環境に復旧することも可能です。
しかし、物理障害は一般的に論理障害よりも重度な障害であるため、そもそもデータの復旧が難しく、論理障害のようにデータ復旧ソフトを利用した復旧は不可能でああるため、業者への依頼が必須となります。
プラッタが無傷なら高確率でデータ復旧が可能
先述の通り、物理障害はハードディスクそのものが破損している状態であるため、復旧が困難なケースも少なくありません。しかし、破損の程度や破損に至るまでの過程によっては、業者に依頼することで比較的スムーズにデータを復旧できる場合もあります。
基本的には、ハードディスクのプラッタが無傷であればデータ復旧できる確率は高くなります。プラッタとはハードディスクの中でデータを記録するための円盤部分であり、複数のプラッタの両面または片面にデータが記録されるのが特徴です。
素材はアルミニウムやガラス、セラミックなどさまざまです。通常、ハードディスクが動いている最中に外部からの衝撃が加わると、内部のヘッドとプラッタが接触することで損傷が発生するため、重度の障害になります。
データ復旧の際に業者を利用するときの注意点
先述の通り、災害などでハードディスクに物理障害が起こった場合、業者への修理依頼が必要となります。データを復旧できる確率を上げるためにはいくつかの注意点があるため、万が一のときに備えて内容を押さえておくのがおすすめです。
ここでは、データ復旧の際に業者を利用する場合の注意点について詳しく解説します。
手を加えずに業者に渡す
地震による津波などでハードディスクの物理障害が起こった場合、ハードディスク本体が水に濡れてしまったり、泥が付着してしまったりするケースも少なくありません。多くの人は業者への依頼前に本体をきれいにしようと考えますが、不純物が多い水道水で洗い流すと乾燥後に状態が悪くなり、復旧に支障をきたすケースもあります。
乾いてしまうと復旧率が一気に低下するため、基本的には濡れていたり泥が付いていたりしても自身で手を加えることはせず、そのままの状態で早めに業者に引き渡すのが賢明です。
海水に浸かった場合は迅速な修理が必要
ハードディスクの水濡れの中でも海水に浸かってしまった場合には、通常の水濡れと比較して腐食が進行しやすくなります。データ復旧に取りかかるのが遅れてしまうと復旧できなくなる可能性もあるため、可能な限り早く業者へ修理を依頼することが重要となります。
通電することによってショートしたり、内部部品が余計に壊れてしまうので、絶対に電源は入れないでください。
まとめ
今回は、地震などの自然災害時にハードディスクのデータを失った場合の復旧可否や、修理依頼時の注意点について詳しく解説しました。地震や火災をはじめとする自然災害で起こる記録媒体の故障は物理障害とよばれ、ハードディスク本体が物理的に破損している状態を指します。内部でデータが失われる論理障害と比較すると物理障害は復旧が難しく、データを取り戻すには業者への依頼が必要です。
物理障害のデータ復旧で重要となるのはプラッタの状態です。プラッタはデータが記録される円盤状の部品であり、プラッタが無傷であれば高確率でデータを復旧できます。業者に修理を依頼する際は、ハードディスクの泥や汚れを落とさずにそのままの状態で業者に引き渡すこと、海水に浸かった場合には腐食が進みやすいため早めに修理を依頼することが重要です。