RAID1の復旧方法について解説!失われたデータを取り戻す方法とは

公開日:2023/06/15  最終更新日:2024/02/01

法人向けサーバーやワークステーション、NASなどに使われているRAID。複数のHDDへの分散保存、安全性の向上、処理速度の高速化といったさまざまなメリットがある反面、RAID機器のトラブルや、復旧方法は知らない方も多いかもしれません。いざという時に慌てないよう、RAID1の復旧方法について知識を身につけておきましょう。

おすすめのデータ復旧業者 ランキング1位はこちら

RAID1(レイドワン)とは

RAIDRedundant Array of Inexpensive Disksの略です。難しい英語が並ぶことばですが、簡単に言えば、複数のHDDを一つのドライブのように認識・表示させる技術を示します。HDDだけでは故障した時にデータが心配という場合に導入しておくと、大切なデータの消失から守ることにもつながる有効な機能です。ここではRAID1の特徴や仕組みについて、詳しく解説します。

RAID1の特徴

安全性向上のメリットが大きいRAID1RAID1は、ミラーリングと呼ばれるデータの複製により、2台のHDDに同じデータを書き込み、一方のディスクが破損しても、もう一方のディスクのファイルが残るため、データが消えずに運用が続けられる仕組みになっています。複数のHDDが一度に故障しなければ、半永久的にデータの保存が可能です。

また、RAID1においてはHDDの台数が増えるほど安全性が高まり、同時に障害へのリスクも下げられます。つまりHDD3台用意すれば、そのうちの2台が故障してもシステムは稼働できるというわけです。このような特徴から、RAID1は高い信頼性を必要とするビジネスシーンで多く利用されています。

RAID1のメリット

RAID1HDDの台数が増えるほど耐障害性をアップさせられます。一つのHDDが故障した場合には、交換によってデータの復旧ができるだけでなく、データの復旧の最中であってもデータへのアクセスが可能です。

RAID1のデメリット

RAID1のミラーリング方式にバックアップ機能がない点には注意が必要です。データの複製といっても、それぞれのHDDには同じデータが構築されます。データを削除したり、上書きしたりすると、同じように二つのデータが消え、上書きされることになります。気づかずに運用を続けてしまうと、復旧も難しくなることから注意が必要でしょう。

また、データは2台のHDDに書き込むため、容量コストは2倍必要になります。また、ミラーリングによってHDD1台故障した場合にも運用が続けられる点はメリットでもありますが、逆に運用できてしまうことから、故障に気づきにくい点はデメリットにもなり得ます。

RAID1でよくある障害・トラブル

知らないうちにHDDが故障していて、RAID1に障害やトラブルが発生するとどうなるのでしょうか。また、どんな場合に障害やトラブルが起きやすいのかについても、しっかり頭に入れておきましょう。

RAID1に障害が起きるとどうなる?

RAID機器に、次のような症状が見られる場合には、RAIDに障害やトラブルが発生していることが考えられます。まずはサーバーのディスプレイ上に「RAID ERROR」「RAID構成が崩壊しています」といったエラーメッセージが表示されている場合です。

また、サーバーのアクセスランプが赤く点滅している、データ・共有フォルダへのアクセスができなくなった、という場合にもトラブルを疑うようにしましょう。RAID1で起こり得る障害には、大きく分けて2種類の障害があります。HDD内のデータ破損によるデータ障害である論理障害と、HDDが物理的に破損して起こる物理障害です。

論理障害とは?

論理障害は、RAID1を構成しているファイルシステムなどのデータの整合性の乱れによるものです。データ読み書き中の強制終了や電源の遮断、マルウェアへの感染、リビルドの失敗、誤削除などのヒューマンエラー、ソフトウェアの不具合、といったさまざまな原因から起こります。

物理障害

物理障害はRAID1を構成しているHDDそのものが物理的に破損して、全体または一部のデータが取り出せなくなっている状態です。原因としては、落下による衝撃、地震、火災などの災害といった外的要因、経年劣化などが挙げられます。

ドライブの寿命は3年から5年ほどと言われていますが、1台が経年劣化を起こしていても、もう1台が劣化せずに作動していれば問題なく運用は継続されます。これが2台目の劣化まで続けられたとき、データを読み込めなくなってしまうのが弱点です。

物理的障害によって破損したドライブは、復元ソフトや修復ツールを利用しても自力での修復は難しいでしょう。

RAID1のデータを復旧する方法

では、RAIDにトラブルが起きたとき、どうすればよいのでしょうか。RAIDデータの復元は、RAIDのレベルによって難易度が異なります。焦って不要な操作をすることにより、内部のドライブが完全に崩壊してしまうこともあるので、慎重な操作が必要です。ここでは、代表的なデータの復旧方法について詳しく解説しますので、参考にしてください。

リビルド(再構築)を行う

まず試したいのが、バックアップを利用したリビルド(再構築)という方法です。リビルドはRAID1のデータ復旧方法としては、もっともメジャーな方法でしょう。

RAID1には、ミラーリングにより2台のHDDにそれぞれ同じデータが存在しています。1台のHDDが故障しても、もう1台のHDDが正常に動いていれば復旧は可能ですので、故障しているHDDを交換し、もう一方のHDD内のデータを新しいHDDに移す作業を行います。

ここで大切なのは、HDDの交換をする際には、先にデータのバックアップを取得した後、故障したHDDだけでなく、正常に動いているHDDも一緒に交換することです。

1台故障したときには、もう一方のディスクも故障しかけていることが多いため、リビルドに失敗するケースがあります。リビルドの失敗はデータ消失のリスクもあるので、バックアップデータをとり、すべてのHDDを交換した後、リストア作業を行う必要があるでしょう。

ホットスペアの設定

ホットスペアはHDDの故障に備えて用意しておくと便利な設定であり、RAIDの耐障害性を高めるのに有効です。しかし、あらかじめ設定しておかないと復旧には生かせません。HDDが故障してからではなく、故障に備えておくことで有効な復旧方法の一つです。

ホットスペアはオンラインスタンバイ、ホットスタンバイとも呼ばれます。RAIDを構成するHDDの他に予備のHDDを稼働状態で待機させておくことで、HDDに故障が起きたとき、自動的に故障したHDDの代わりとなって、RAID構成の復旧が可能になるという仕組みになっています。RAIDが組まれたストレージでは、故障したHDDを交換することでRAID構成を復元できます。

しかし、HDDの交換は手動で行わなければならないため、交換前にもう一つのHDDが故障してしまうと、データを失うことになります。そんな時にも、ホットスペアを設定していれば、自動的に復旧が行われるので、もしもの時の対策として設定しておくとよいでしょう。

復旧業者に依頼する

今、紹介した復旧方法によって復旧させられるケースもありますが、故障原因がわからない場合には、安易に自分で復旧させようとしない方が賢明です。特に絶対に消したくないデータがある場合には、迷わずデータ復旧業者に任せるようにしましょう。

プロへの依頼には、原因を分析して正確な対処ができる、データ復旧率が高い、また物理障害のケースでも修復できることがあるといった多くのメリットがあります。

RAID1のデータ復旧は難しい?復元に必要なツール

故障の原因がわからない場合、自分でデータの復旧をするのは困難でしょう。そこで、データ復旧ソフトを利用すれば、データ復旧が可能な場合もあります。

復旧ソフトの特徴

復旧ソフトは持っていれば復旧に役立つ便利なツールですが、残念ながら復旧の成功率については低いと言われています。データの誤削除、ファイルが認識しないといった簡易的なトラブルで、どうしても即日復旧させたい、業者を待つ時間がないという時には有効ですが、重要なデータに対しては慎重に扱う必要があるでしょう。

もし使う場合には、RAIDによってソフトが異なるため、RAID1に対応しているソフトを用意するようにしましょう。

復旧ソフトのメリット・デメリット

復旧ソフトを利用するメリットとしては、まずはコストが安く済むことが挙げられるでしょう。ネットや専門店で、無料のものから、高くても数万円で購入することが可能です。

また、ダウンロードすればすぐに復元できるのも便利な点です。一度購入すれば何度でも復旧に利用できますので、また復旧が必要になったときにも使えます。

しかしながら、RAIDに対応している復元ソフトは多くはありません。HDDの一部の障害(論理障害)の場合にしか使えないことから、必ずしもソフトを使えば自分で復元できるというわけではありません。

またデータ復旧ができなかったり、ソフトを使うことにより、逆に症状が悪化してしまったりといったリスクもあることを覚えておきましょう。

RAID1の復旧に成功するためのポイント

RAID1のトラブル時には、修復しようとあれこれ試してみたくなるものですが、データの復旧率を下げてしまうNGな対応が多数あります。またNGな対応を避けることに加え、日ごろからの障害対策も大切なため、ここでいくつかご紹介しておきます。

RAID1の修復失敗や障害悪化につながるNG対応とは?

機械や電化製品の故障やトラブル時に、電源を入れ直したら直った!という経験がある方は多いはず。しかし、RAID1の故障時に電源を切ったり入れたりを繰り返すこと、また再起動を行うことでRAID1を構成しているNASには大きな負担がかかります。運が悪ければHDDの状態悪化、損傷が大きくなる可能性もあるのです。

また、HDDの故障時には、1台が故障したときには、もう1台のHDDも故障が近いことが多いものです。壊れかかった状態で通電し続けられたHDDは、誤作動を起こす、故障を早めるといった原因にもなります。トラブル時には機器の電源を切る、電源ケーブルを抜くといった行動が正しいでしょう。

さらには、RAID1の復旧方法として紹介したリビルドについても、注意が必要です。復旧方法としてはメジャーで、まず試したい方法ではありますが、素人判断で行うのは危険です。

リビルド中にもう一方のHDDが故障してしまう、サーバーから取り出したHDDを誤った順番で差し込むことで誤った上書きがされる、別のRAIDレベルと思って、誤ったリビルドをかけてデータが見られなくなる、といったリビルドの失敗にも注意が必要です。もし自分でリビルドしたい時は、まずは業者に相談した方が賢明と言えそうです。

RAID1のトラブルを回避するためにしておきたいこと

RAID1のトラブルは、あらかじめ対策しておくことでデータ消失を回避できます。RAID1は一つのHDDが故障しても、もう一方のHDDが動いていればデータは守られると思っている方も多いかもしれません。それがRAID1の強みではありますが、バックアップとは異なります。HDDは永久に使えるものではないことを頭に入れておきましょう。

同時期に製造されたHDDは、同じようなタイミングで故障してもおかしくありません。同時に故障することも考え、定期的にデータのバックアップを取っておくとよいでしょう。

また何よりも、大きな故障が起きる前の初期症状で気づき、対処することが大切です。ディスクの読み取りや書き込み速度が遅くなった、ディスクがフリーズする、RAIDに接続したストレージが認識されない、RAIDレベルが表示されない、といった症状が見られたら故障が近いかもしれません。

HDDに故障が起きていないかどうかは、RAIDのユーティリティを確認することでも可能です。RAID構成ユーティリティでは、RAIDのシステムの構成や状態をコマンドラインで表示できます。定期的に劣化がないかをチェックするとよいでしょう。

RAID1復旧を専門業者に依頼するときの選び方

物理障害が起きてしまい、データを取り出せない場合には復旧業者に依頼する他、方法はありません。消したくない大事なデータがある場合にも、迷わず業者へ相談しましょう。

復旧専門業者に依頼するメリットとは

「復旧は業者に依頼するとコストがかかる」「依頼した業者の技術力がわからないから頼むのに躊躇する」といったことから、できれば自分で復旧作業をしたいと考える方も少なくはないでしょう。

しかし、自分で復旧するのは不安、絶対に消したくないデータがある、といった場合には業者を頼ることをおすすめします。一番のメリットとしては、プロによる故障原因の特定が可能なことから、原因に応じた適切な処置ができるという点が挙げられます。

また、サーバーやNASといったRAID機器の扱いは素人には難しいものですが、専門業者であれば対応が可能です。出張での復旧や24時間受け付けや、土日祝日にも対応している業者は増えています。急いでいるからと、自分で何とかしようとせず、トラブルが起きたらすぐに業者に問い合わせてみましょう。

復旧専門業者を選ぶポイント

復旧専門業者に復旧を依頼することに決めたところで、迷うのが業者選びではないでしょうか。見積もりや初期診断から料金がかかった上、結局依頼した業者では復旧できなかった、なんてことになれば、時間も費用も無駄になってしまいます。データ復旧業者でも得意・不得意があり、知識や技術、対応できる範囲も業者によって異なります。

なかには高額な料金を請求してきたり、見積もりにない金額を追加で請求してきたりと、悪徳な業者もいるため注意が必要です。そのため、信頼度の高い優良な業者を見抜くことが必要になるでしょう。では、優良な業者とはどんな業者なのでしょうか。

まずは、データ復旧実績が豊富、スピード対応、最新の設備を備えている、見積もりが無料、といった点から絞り込んでいきましょう。ネットの口コミは良い点だけでなく悪い点まで正直に書かれていますので、参考にするのもおすすめです。

また、大手は実績が多いことからも注目されがちですが、小さな会社でも、他社で断られたデータ復旧を受けてもらえたというケースもあります。リピーターが多い、また、完全成果報酬制を採用しているかどうかも注目したい点です。確実な仕事ができなければリピーターは増えませんので、技術力がある証拠です。

また、復旧に成功しなければ報酬をもらわないというのは、それだけ技術に自信を持っている証拠でもあります。このように、さまざまな見分けポイントがありますが、時間があれば2~3社からまずは見積もりをとることが大切です。

相見積もりによって、業者の対応や相場がわかるため、高額請求をしてくる悪徳業者にひっかかるリスクを下げられます。データが消えてしまった!という時にはパニックになりがちですが、慌てずに優良な業者を見つけ出し、依頼するようにしましょう。

まとめ

RAID1の復旧方法について解説しましたが、いかがでしたか?RAID1は大切なデータを守るために有効な機能ではありますが、HDDの故障には気づきにくく、トラブルや故障が多いのも気になるところです。しかし、トラブルに対する対策をしておけばデータ消失を免れたり、HDDの故障時にもすぐに気づけたりするケースもあることが理解できたことでしょう。データが失われた場合、自分で復旧できる場合もありますが、多くは復旧専門業者の力が必要になります。RAIDをお使いの方は万が一に備えて、信頼できる業者選びをしておくのも良いのではないでしょうか。

おすすめ関連記事

検索

【NEW】新着情報

NASはネットワークで接続しているPCやスマホ、タブレットなど複数のデバイスでデータを共有できる記憶装置のことです。 外付けHDDと違い、LANケーブルで複数のデバイスをつないで同時に使用できるというメリットがあり
続きを読む
テレビ番組の録画は、外出や仕事で見られない時に非常に便利です。しかし、録画予約をしていても、録画エラーやデータの消失といったトラブルが発生することがあります。 本記事では、テレビ番組の録画に最適な機器や、録画ができ
続きを読む
あらゆる業界において、パソコンは必須ツールです。しかしそんなパソコンが突然故障して、中に入っているデータにアクセスできなくなることがあります。こうなると、自力では復旧が難しくなり、中のデータを取り出すには専門業者に
続きを読む